98の黄金時代到来
    MSDOS普及が支える
 NECの88の時代は短く、すぐに9801の黄金時代がやってきた。98は最初の無印を除けば、フロッピーディスクが標準装備だった。本格的なシミュレーションゲームが次々と生まれた。日本独自の98ゲームの黄金時代の幕開けでもあった。
 98時代を支えたのがこれまでの88ベーシックに代わって本格的に導入されたMSーDOSだった。ゲームにはNEC版V2.11がMSDOSの普及のために無料でバンドリングされゲームはその上で動いた。またディスクも1240ヲバイトの5インチ2HDが主流となり(一部640ヲの2DDもあったが)プログラムやデータ容量も飛躍的に増えていった。
 架空戦の傑作「大戦略」
 システムソフトからは架空戦の本格シミュレーション、「現代大戦略」が発売される。後の大戦略シリーズの皮切りとなる作品だ。国は一応架空のものだが、登場する兵器は現実に使われているもの。まだ空軍と陸軍しかなかった。都市を占領して予算を獲得して、兵器を生産するというシステムは今と同じ。また一つのユニットが10戦力(10台)という基本もこのときにできあがっていた。また最初はコンピューターの思考ルーチンが弱く、簡単に勝てたが、パワーアップセットが発売され大幅に改良された。いったん完全とはいえない状態で発売して、その後に有料の改訂版を出すというゲームソフト界の悪習の先駆けでもある。

 陸海空がそろう

大戦略はさらに「大戦略U」にグレードアップ。兵器の数と一国の部隊数が増え、間接射撃もできるようになりゲームの幅が広がってきた。
 また小型空母や護衛艦、揚陸艦艇など海軍ユニットも追加されて3軍がそろい、陸海空多面的な戦術が楽しめるようになった。

 

 海外ゲーム移植も盛ん
 この当時は海外はアップルコンピューターのゲームの全盛時代で98への移植版も次々と発売された。

核時代のバランス
  アスキーから出たのは「BALLANCE OF POWER(バランスオブパワー)」、「核時代の地政学」というサブタイトルが付き、冷戦時代の東西陣営の政治がテーマだった。プレイヤーはアメリカ大統領かソビエトの共産党書記長となり世界各国への影響をどちらが多く集めるか。核戦争を起こさずに自国の陣営を拡大するかを競う。

 南太平洋の戦い再現

ボードゲームの老舗(しにせ)、ホビージャパンから「激突!日米機動部隊(WAR IN THE SOUTH PACIFIC)」が出た。これはSSIの海戦シミュレーションを移植したもので、太平洋戦争中、最も空母同士の激戦が戦われた南太平洋の戦いがテーマだった。サンゴ海海戦、第1次ソロモン海戦、南太平洋海戦の3つのシナリオをそれぞれ個別に戦えたし、キャンペーンもできた。戦いは索敵し、空母や基地から攻撃隊を発進するというおなじみのもの。ゲームを違法コピーできないよう細かい文字の暗号表が付いていた。