福井県で初めて新型コロナウイルス感染者となったのは福井市の一部上場企業の日華化学の58歳の社長だった。福井県の最初の発表では6人だった濃厚接触者が3月21日には32人に増えるなどしっかりと患者から行動履歴情報がしっかり提供されていない感じだし、担当する福祉保健所の対応も甘いような気がする。これまで感染がなかった福井県での最初の発生。いろいろと問題が多い。
そもそも企業では出張を自粛するところも多い。「不要不急の出張」はしないというのが現在の基本的なありようだ。会議や商談もテレビ電話などのシステムを使って行うことが多い。
1月末に国内で初感染者が出て以来、福井県は富山県などと感染者ゼロを保っち、感染がないのは残り9県となっていた。福井県で初感染が発表されたのは3月18日夜。「50歳代の男性会社役員」で3月6日から8日まで小松空港から東京に出張。12日に37度台の発熱があり、3月14日に最初の病院を受診、熱が下がらず倦怠感もあるため18日に別の病院で診察したところ肺に影があり、その病院の紹介で別の診療機関へ。3カ所目の病院から保健所に連絡があり、「帰国者・接触者外来」の医療機関でPCR検査を受けて感染していることが判明した。18日に3カ所の病院を回った。
甘い聞き取り?最初は6人が32人に
18日の段階では濃厚接触者は妻を含めて会社関係者ら6人としていた。飲食店の個室で食事していたという。社長と同じ棟で働く250人は自宅待機しているという。
その翌日の19日、福井市に本社がある日華化学がホームページで感染した役員は江守康昌社長と公表。国内の感染者で名前が明らかになったのは日本サッカー協会の田嶋会長に続いて二人目となった。福井市保健所の発表で濃厚接触者は3人増えて8人に増えた。妻、会社関係者6人、飲食店従業員1人となった。妻を除けば17日に一緒に飲食したという。さらに行動確認でいったん福井に帰った後10日から12日も再び東京に出張していたことが明かされた。この時点で18日の聞き取りが不十分だったことがわかった。東京から帰ってきた12日には発熱があったということなので東京での調査は必要ないのだろうか。
さらに3月21日になると濃厚接触者は24人増えて32人となった。濃厚接触者については「症状はない」としながらも自宅待機を求めている。なぜどんどん濃厚接触者が増えていくのだろうか。不祥事の際に、あとから少しずつ情報が出てくというパターンに似ている。
感染者側にはあまり大事にしたくないといという心理が働いて最初は話さなかったのだろうか。福井保健所の聞き取りが甘いとしかいいようがない。濃厚接触者は役員と社内で会議や面談をした人がほとんどというが詳しくは明かされていない。とりわけ社外に広がりがあるかどうかがわからない。プライベートを理由にして詳しい内訳が示されていないのはかえって不安や疑問が高まる。
日華化学はもともと26日に株主総会を予定してた。社長欠席のまま総会を実施するようだ。