交流電化の北陸線は孤立、新特急「銀河」は期待薄

現在北陸線を走る交直流電車のサンダーバード

JR西日本の北陸本線は全国の電車のネットワークから見ると直流の電化区間に囲まれた孤島のような交流電化区間で、関西や新潟方面からの直通列車を走らせるには直流と交流の両方を走れる交直両用電車が必要となる。関西、中京方面から敦賀までが直流区間、敦賀から金沢までが交流区間となっている。金沢以東は北陸新幹線の並行在来線となる3つの私鉄が糸魚川まで交流区間を運転している。

JR西日本が発表した2020年から走る長距離特急「銀河」のイメージ

3月にJR西日本が新しい長距離豪華列車「銀河」を発表した。WEST EXPRESS「銀河」と名付けられた列車は6両編成で2020年春からの運営を目指す。

グリーン車が前後に2両、間の4両はの広い座席のある普通車両に、コンパートメント、フリースペースなどがあり一度に乗れる定員はそう多くないようだ。寝台車両はない。

銀河は以前東京-大阪間を走った寝台急行の名前で、車両の名前にも「彗星」「遊星」「明星」などのかつての急行の名前がついている。車両全体にブルートレインを思わせる瑠璃色になっている。快速電車だった117系の電車車両を改造して作り、瑞風ほど料金は高額な運賃ではないようだ。京都、大阪を起点に山陽、山陰方面で運行されるのだろうが定時運転だけでなく観光地を周りホテルや旅館に宿泊するツアーが組まれるかもしれない。

しかしこの長距離特急電車は北陸線に入ってくることはないだろう。新しい観光特急として不定期でも北陸線を走ってくれるとうれしいのだが、北陸線を走るには電流の壁がある。同じJR西日本管内でも関西や中国地方は直流電源で運転されているのに対し北陸線だけが交流電源で運転している。現在は敦賀までが直流区間で関西の新快速が運転されている。敦賀から東は交流区間で敦賀-金沢は交流電車が運行される。大阪、京都からの特急は直流も交流も走れる交直両用電車が走る。サンダーバードだ。名古屋方面からも「しらさぎ」だ。敦賀駅から少し進んだ北陸トンネルの入り口手前に切り替え区間がある。

銀河の元の車両は直流電車の117系を改造して仕立てるというので、交直流電車ではなさそうだ。福井県には緩行電車として舞鶴から小浜線を通り敦賀までは入ってくることは可能性としてはある。しかし敦賀以西には加賀温泉郷、恐竜博物館、東尋坊、金沢、能登半島などJR沿線近くには観光地や温泉も多く観光地としては魅力的だが現時点で難しそうだ。

さらに2023年北陸新幹線が敦賀まで延伸すると、北陸線は並行在来線となりますますJR西日本の電車は走りにくくなる。新しくできる第3セクターの鉄道会社に線路使用料を払わねばならず新しい特急を走らせるメリットは少ない。

以前北陸線に走っていた先頭車が展望車の雰囲気のサンダーバード

寝台車両を改造した交直流電車の車両

北陸線には長距離寝台特急の列車のトワイライトエクスプレスが廃止されたあとは、魅力的な電車が来なくなった。見ることも乗ることもできなくなった。ボンネット型の雷鳥もなくなってしまった。現在北陸線に走っている「サンダーバード」「しらさぎ」「おはようエクスプレス」「ダイナスター」と種類は多いがいずれも681系、683系と呼ばれる車両で外観はほぼ同じだ。トワイライトエクスプレスの後に作られた豪華寝台特急「瑞風」も中国地方を走り北陸にはやってきていない。