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日ロでのガンの生態詳しく
「マガン」
池内俊雄著
文一総合出版 |
日本史が専門の筆者にとってガンは古典文学や美術の世界での秋を最初に告げる渡り鳥であり、現世とあの世を往復して仏の教えを伝える存在だった。
。1983年新潟県の瓢湖にいったとき人のまくえさにカモが群がってくる姿を見ていやになり、たまたま近くの福島潟で強い緊張感を持って群をつくっているガンの姿に魅了されてしまう。それ以来ガンを追い続けている。
「日本人とガンとのかかわり」「ガンのたどった衰退の歴史」「マガンとはどんな鳥か」「マガンの1年間の生活サイクル」「ガンの生活を脅かす要因」「マガン保護に向けて」の6章に分かれ、日本でガンが存在することの大切さを説く。
万葉の時代からガンは歌に現れ禅宗の絵のテーマとなった。一方で縄文時代から食べられてきた。江戸時代には狩猟は盛んに行われたが乱獲はされず、明治になって狩猟と開発による環境の変化で急激に数が減ったことを細かなデータで示す。
現在はガンの越冬地は日本国内の一部に限られ関東からは完全に姿を消した。ガンの守っていくためにはガンが十分に食事ができるよう広い水田地帯を守っていくとこが大切だとする。ただガンの食害で農家に被害がでる恐れもあり、農家の理解と地域で被害を補償していくシステムも必要になる。そしてもう一つはガンの繁殖地であるロシアの環境が重要で、筆者はロシアの研究者との共同活動も行っている。
64ページ
1996年発行。2060円 |
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