不便になることが確定した北陸新幹線敦賀延伸 2024年開業で特急廃止
サンダーバード、しらさぎ敦賀止まり
3年後の2024年春に敦賀まで延伸される北陸新幹線をめぐって、福井県が要望していたJR西日本との北陸線特急「サンダーバード」と「しらさぎ」の存続協議が打ち切られました。石川、福井県から大阪や京都には現在「サンダーバード」で乗り換えなしで簡単に行け、名古屋へも「しらさぎ」で直行できます。福井市から東京へは米原乗り換えで東海道新幹線を使い3時間40分弱。しかし北陸新幹線が敦賀まで伸びると1時間に1本定時に運行される便利な特急はなくなってしまいます。大阪へは敦賀で乗り換え、東京へは直通となるが料金は高くなり時間短縮効果もそう大きくありません。新幹線の駅まで遠くなる市町も多く特急存続を要望していましたていたが、結局例外は認められないと断られてしまいました。2023年開業の予定が建設遅れで1年延期される北陸新幹線敦賀延伸。この遅れはふだんから在来船特急を利用することの多い乗客にとってはそう悪いことではないかもしれません。
金沢開業で富山は乗り換えに
北陸新幹線は2014年3月に東京-金沢が開通。4時間以上かかった東京-金沢間は2時間40分と一気に近くなりました。大阪-金沢間は金沢開通後も従来通り通りサンダーバードが直行運転しているため、首都圏からも関西からも観光客が増え新幹線効果を満喫してきました。一方で富山市は首都圏からは便利になったものの、JR西日本の金沢-富山間は並行在来線となってしまい第三セクター会社に運行が引き継がれてサンダーバード、しらさぎは金沢止まりとなり金沢での新幹線乗り換えとなりました。関西から富山はちょっと不便になりました。
この金沢乗り換えの不便さが北陸新幹線の敦賀延伸後の敦賀駅ではさらに拡大しそうです。大阪、名古屋からの電車は敦賀で止まってしまいその先へ進むのには北陸新幹線に乗り換えるか、JRを引き継ぐ第三セクターの新しい私鉄に乗り換えなければなりません。新幹線と在来線はいったん改札を通って別のホームへ行かなければならず高齢者など足腰の弱い人には負担です。時間もロスしさらに直通の特急より運賃が上がる可能性は高いです。
福井県や沿線は存続要望
福井県や沿線市町は新幹線延伸後も特急の運行継続を要望していました。日本各地で新幹線が出来たら従来の路線は並行在来線となり、JRの手を離れてしまいます。特急を走らせるとなると特急が三セクの私鉄に乗り入れて運行する形になります。沿線使用料が発生したり、乗務員の交代も必要になります。さらに新しい新幹線が出来ても、便利な在来線特急が残っているなら今まで通りそちらに乗る乗客も多く新幹線はガラガラになる懸念も多い。過去の全国の新幹線の例をみてもなかなかハードルの高い要望です。
客観的に見て無理な要望に思えるが、新幹線線建設計画の経緯からみると福井県などの要望はも実はもっともな理にかなったものでした。
夢の電車FGT走るはずだった
もともと敦賀で乗り換えることを歓迎していなかった沿線は、新幹線車両がそのまま在来線に乗り入れるフリーゲージトレイン(FGT)を求めていました。大阪から敦賀までは狭軌の在来線を通り、敦賀からは車輪の幅を広げて新幹線の標準軌を走るというまさに夢の超特急です。北陸新幹線だけでなく九州でも同じ要望がありました。福岡から長崎まで運行する九州新幹線長崎ルート(福岡-新鳥栖間は九州新幹線を併用)では途中の佐賀県があらたな新線を作るのでなく在来線を使っての運行を求めていたためFGTが先行して検討されてきました。日本ではまだ走っていませんが、スペインなどヨーロッパではじっせきがあります。鉄道総合技術研究所などが中心になって実際に車両をつくって試験線で走らせて研究を進めてきました。
特急車両が自動的に車輪幅を変える技術はめどがつき、き2014年から試験電車で耐久走行試験が行われてきました。しかし、車輪幅の変更を繰り返すと車軸が摩耗し、高速運転に耐えられないという残念な結論が出され、長崎ルートの開業には間に合わないとFGTの導入が断念されてしまいました。
九州の成果を持ち込むつもりだった北陸新幹線は関西から北陸へ新幹線で直行運転という夢が消えてしまいました。ばくぜんと新幹線に期待を持っていた福井県の人たちも敦賀で乗り換えが必要で、決していいことばかりでないことを知るようになりこれまで通りの特急運行を求める声が強まってきました。
眼鏡の町鯖江は新幹線から遠く
中でもめがねの町で全国に知られる鯖江市はこれまで鯖江駅に特急が停車していたのに、市内に北陸新幹線の駅はなくなり、敦賀方面へはお隣の越前市の「越前武生」駅で乗らなければなりません。金沢・東京方面へは隣の福井市の福井駅です。特に北陸自動車道の武生インターそばにできる「越前武生」駅はJR武生駅のある市街地から離れていてほかの鉄道の乗り入れがなくバスか車です。。鯖江から関西方面に行くには新幹線を使わず第三セクターの路線を通り敦賀乗り換えでJRに乗っていく方が現実的かもしれない。実は三セクからの乗り換えは歩く距離が長く時間は今よりも遅くなりそうです。
巨大な敦賀駅在来線から動く歩道
乗換駅となる敦賀駅は北陸新幹線きっての巨大な構造の駅です。金沢方面から駅に入るとき国道や、北陸線と連続立体交差で入ってくるためホームが高い位置にあり、駅舎は7階建てのビルに相当する高さがあるそうです乗り換えのJR西の電車は線路を付け替えて新幹線ホームの真下に新しいホームをつくり上下で乗り換えすることになります。
在来線の敦賀駅から新幹線ホームは100メートル以上離れています。三セク鉄道は敦賀駅に入れないため距離があり、乗り換えるには動く歩道で移動することになります。どちらにしろ大きな荷物を持ってる人の乗り換えは大変です。
特急存続を求める署名運動も行われ、福井県は県民の声に押されて特急運行を福井駅まで存続するよう求めJRと協議を続けてきました。しかしJR西日本は一貫して困難との立場を崩しませんでした。福井県も特急が福井駅まで運行すると第三セクター会社の収入が大幅に減るため現実的な視点で5月に協議打ち切りを認めた
2024年の開業後サンダーバードが今の1時間に1本以上運行されるのか、名古屋方面からは名古屋-敦賀間の短い距離で特急を運転するのか懸念もあります。特にしらさぎは米原で新幹線に乗り換える割合が高く、敦賀と米原の2回乗り換えしてまで利用する乗客がどれだけいるのかという疑問もあります。JR西日本としては東海道新幹線よりは自らが運行する北陸新幹線に乗って東京に行ってほしいはずです。JRの立場に立てば「しらさぎ」の運行継続には大きなクエスチョンマークがつきます。
北陸新幹線敦賀開業は鉄道建設公団の工事遅れで当初2023年3月だったのが1年遅れとなりまし。福井駅より西側の地域に住み首都圏に向かうには東海道回りが早い人にとって開業遅れは幸いなのかもしれない。
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