当然キーウと呼ぶべき、歴史的呼称はどうする

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ウクライナ侵攻で変わる都市名

 ロシアのウクライナ侵攻を受けてウクライナへのシンパシーとロシアへの嫌悪感が高まり、ウクライナの地名を従来のロシア語読みからウクライナ語読みに変える動きが広がっている。外務省も4月1日から公式に変更した。

 都市名のキエフは「キーウ」に、オデッサは「オデーサ」になった。ハリコフも「ハリキウ」と呼ばれる。ドニエプル川は「ドニプロ川」。にチェルノブイリ原発は「チョルノービリ原発」にとネットニュースの表現も変更されている。

 これまで慣れ親しんだ呼び方なので今は新しい呼称には違和感はある。しかしこれは次第に慣れてくるだろう。ロシア関係ではロシアの隣国ジョージアはかつてはグルジアだった。ロシアにウクライナ同様一方的に侵攻されるなど関係が悪化して同国の要請で2015年に英語読みのジョージアとなった。アメリカの州名みたいでピンとこなかったけど今は国名と場所が一致するようになった。

 ウクライナの都市名、地名についてこれからは新しい読み方が定着していくだろうが、問題は歴史的な呼び方や芸術作品だ。小説のタイトルもそうだ。ムソグルスキーの組曲「展覧会の絵」の「キエフの大門」は当時の大ロシア帝国の主要都市だったキエフにあった大きな門をしのんで作曲されたものだ。曲を聴くときは「キーウの大門」でなく「キエフの大門」としてこれからも響きそうだが、今後どうなっていくのか。

 第二次世界大戦の激戦地だったのが「ハリコフ」。ドイツのソ連侵攻以来ハリコフの地をめぐって4度に渡って攻防戦が展開され、最後にソ連が奪還しベルリン陥落へと繋がっていく。戦史マニアにとっては過去はハリキウでなくハリコフだ。

 アメリカの作家フレデリック・フォーサイスの傑作小説「オデッサファイル」もオデッサのことから思い込んでいた。かつて読んだに内容をすっかり忘れていて、本を開いてみるとドイツのナチ親衛隊組織の略称だった。本の前分に「オデッサとは南ロシアの町でもなければアメリカの田舎町でもない……」という記述がある。

 当時の南ロシアにオデッサという町があることを知った人もいただろう。本の内容を忘れても後にプーチンの別荘がある保養地というニュースを見たこともあり、オデッサの地名は印象に残り続けた。この町もこれからはオデーサと認識していかなければならない。

 

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